2019年 04月 15日
いまやセートのお味といえばティエル Tielles sétoises |
半ばこの街、Sèteセートで伝説化した TIELLE ティエル。(ティエル セトワーズ)

ついにこの地方を離れることになりますが、その前になんとか満足のいくティエルを作ることができました。
しかしその歴史は意外に浅く、およそ80年です。
実はガエタから来た移民たちがもたらしたものなのです。
GAETA ガエタという街はイタリアはラッティア州、どっちかといえばナポリの北の港町。私の街[セートの隣町]と密かに?姉妹都市を結んでいる町でもあります。

ティエルの由来うんぬんはセートの観光局のサイトで詳しく書いてありますが(フランス語のみ)、かなり乱暴にまとめると、当時は貧しいイタリア系移民の食べ物だったようで、学校のおやつに地元の子はパン屋のクロワッサンを持参して食べていたのに対して、お父さんが漁師で生計をたてていた移民の子供たちは、お母さんの手づくりティエルをこっそりすみで食べていたそうです。(反対に驚き。かなり心はリッチな生活だったのでは?)
セート観光局のサイトより
こんな感じのマンマにティエルはもちろんパスタやなんやら教わってみたい。
セート観光局のサイトより
そんな貧乏人の食べ物を売るなんて考えもおよばず、長い間移民の間でのものだったのが、1937年、ついに販売に至り、セートの人々の間で徐々に知られるようになりました。さらに人気がでてきて、いまやセートの代表的(B級)フードとなったようです。
(でも以前はこの地に何にもなかったの?という疑問も残る。)
時代は変わり、ティエルを毎日おやつ代わりに食べるなんて反対にお金持ちに思われるかも?という状況。(一個 超ミニ2.8ユーロ、ミニ3.8ユーロ。) でもはっきり言って毎日食べられるものではないですが・・・。(経験済み。いろんなところを試そうと毎日食べたけど、4日目は体が受け付けず無理でした。時々でよい。)
フランスはB級フードに関して、長い間不毛の地でした。
今はフードトラックが流行ってますが、以前はおフランスにB級なんてありえないっしょ?とバゲットのサンドイッチにクレープぐらいしかなく、キャミオン ピザ(改造トラックでピザ製作&販売)とサンドイッチ グレック(またはケバブ=ドネルケバブ)に主権を奪われB級フード砂漠地帯でした。今はスターシェフもグルメB級に熱を入れているようですが。
そんな中で、ティエル専門店が当たり前のように何件もあるセートやその周辺の街(モンペリエから西)はかなり特異といえるでしょう。
どこのティエル屋が美味しいか?
これは現地人の争点になりがちで、各自マイティエル屋があるみたいです。
まあ生地が薄い、厚い、濃縮還元トマトの味が出すぎ、スパイスの量多いとか、それぞれにちょっとだけ差(これをこだわりと言う)がありますが、(地元人にとっては重要ポイント!!!!) ごめんなさい。地元人でもなければ、フランス人でもない私にとってはどうでもいいような。美味しいといっても所詮はB級と、熱い論争を冷ややかな目で見る私。
まあとにかく80年前の移民には想像しがたい現象でしょう。
ただスーパーで売っているのよりかは、格段に美味しいようです。(スーパーのは試したことがない。でもこの当たり前のようにスーパーに並んでいるティエルよ、フランス北部=トゥールーズより北ではありましたっけ?)
後述-ナント付近の田舎町のスーパーに種類は一つのみでしたが見つけました。ガレットに押され気味で存在感なしです。(涙)
個人的にバランスがとれているのはここかな?
TIELLES SOPHIE CIANNI & CO
19 Grand rue Mario Roustan
34200
SETE
Tél : +33 4 67 43 60 62
でもこれも外国人がいろんな焼きそばの違いがわからないのと同様、違いはいたって微妙です。
まあ主流のティエル屋は創業者の家族がのれん分けをして現在に至るようなので、似たり寄ったりなのかも。
なんかアストゥリアスあたりで食べたエンパナーダに形状が似ていると思ったら、なるほどもともとはスペイン人のアイディアだった模様。
ティエルのご本家の地、南イタリア・時代はスペイン。ガエタがハプスブルグのカルロス1世(カール5世)の領土だった時。もともとアンチョビとオリーブの簡単なピザの原形は現地にあったけれど、スペイン人の兵隊が食べているものは、自分たちのに似ていても、ピザの上に同じ生地で【ふた】がしてあって、乾燥せず長持ちしてこりゃあいいぞっ、真似してみようっというので出来たのがティエルの始まりだったそう。
ご本家 ガエタのほうは、タコだけでなく、いか、ムール貝などの魚介類、さらにズッキーニなどの野菜をいれたものもありバリエーションが豊富。
当時は売り物にならなかった小ダコだって今や かなりいい値段がします。
今回 セートの市場で小イカが安かったので、大量に買って処理して冷凍したものを使用。
列の前に並んでいたおばちゃんが10キロも買って、小分けにして冷凍していくのよーというアイデアを頂戴したのでした。
でも小イカ10キロの処理は結構手間がかかりそう。
わたしは小者なんで、3キロにしときましたが、それでもかなりありましたよ。

今回は小イカを使ってますので、厳密にはセートのティエル(=タコパイ)と言えませんが、お味はタコに負けません。
ここにきてから5年過ぎ。いろいろ試作を重ねましたが、やっと納得のいくマイティエルができました。
21センチ直径のタルト型+小さいタルト型3つ分
生地
薄力粉 400g
ぬるま湯 70ml
オリーブオイル 100ml
ミュスカ(白ワインで代用) 70ml
卵の黄身 一個分
パプリカパウダー ティースプーン 1/2杯分
濃縮トマトペースト スープスプーン1杯分
塩 8g
ドライイースト 4g
砂糖 ひとつまみ
中身
小タコ(現地ではpouffre)、小イカ 1㎏
濃縮トマトペースト 小さい缶 1缶分
トマトの缶詰 2缶=だいたい500g
白ワイン 200ml
パセリ 少々
ブーケガルニ(タイム、ローリエ)
パプリカパウダー ティースプーン1/2杯分
お好みでチリパウダー 少々
玉ねぎ 1個
ニンニク 3個
塩、こしょう 適量
砂糖 ひとつまみ
あれば サフランパウダー ひとつまみ
作りかた
1 ボールにぬるま湯、ドライイースト、砂糖を入れ、30分くらい、暖かいところに寝かせる。
残りの生地の材料をボールに入れ、よく混ぜ、濡れふきんをして30度のオーブンに入れるか、部屋の暖かいところに置いておく。
*2倍に膨らむのが理想。
生地が膨らんだら、タルト型にあうような大きさの丸2枚を用意する。
*生地は薄くするのがポイント。
*パイといってもパン生地に近く、半分カサカサしてますので、厚いと口が乾きます。
2 中身をつくる。
タコの準備
タコはいったん冷凍した後解凍するほうが、柔らかくなる。
塩でもみ洗いをした後、鍋にブーケガルニ、塩と酢少々、ひたひたになるくらいの水を入れ圧力鍋で5分、もしくは鍋で小1時間ほど、柔らかくなるまで煮る。
ゆでたあと、冷まして水をきり、はさむで小さく切り刻んでおく。
1 フライパンにオリーブオイルを熱し、みじん切りにした玉ねぎを入りがつくまで火を通す。刻んだパセリを加え、最後ににんにくを。
2 濃縮トマトペースト、トマトの缶、白ワイン、ブーケガルニを加え、中火で熱し、水分をとばす。
3 準備したタコを2に加え、ソースがとろっとなったら(20分ぐらい)、塩、コショウ、パプリカパウダー、好みでチリパウダーを加え味を調える。
4 パイ皿に生地を敷いて、フォーク等でプスプスさし、冷ました3の中身を入れ、上に生地をのせて端の処理をする。
上の生地にもフォークなどで適当に穴をあける。
5 210度に熱したオーブン(オーブンにより200-220度)で30分くらい焼く。
これまたラングドックのお手頃な白ワインとあいますので、アペリティフにどうぞ。(まだは昼食向き)
セート人はやはりタコ星人が多い模様。
市庁舎の横の広場の噴水もタコです。
タコってパリ人や日本旅行経験済みフランス人あたりだとたこ焼きも喜んで食べる人が多いけど、時代が進んでもたいていの人が好んで食べるものではないと・・・。
そんな中で、シンボル的な広場にタコ。
こんなタコ星人の街ならたこ焼き受けるかも?と思ったら大間違い。
なかなか舌が社交的でない南人よ、自分の地のもの一番ですから(ティエルも、もともとはイタリアから来ていることも忘却の彼方。)、難しいかな?

by atelier-cuisine
| 2019-04-15 03:11
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